日時:平成17年5月17日(火曜日)午後3時〜午後5時
場所:龍谷大学瀬田学舎RECホール210会議室
<特区計画の意義とポイント>
<推進協議会の設立と今後の取り組み>
[質疑応答]
委員:高島市が特区として行う具体的な事業は何か。
申請者:湖国百選に選ばれた7ヵ所、歴史文化遺跡等を具体的にルート化する。地域通貨の活用によって観光振興による経済的効果を目に見える形にしたい。現在、年間280万人の観光客が訪れ、50〜60億円の収入があるが、特区によって300〜350万人を集客したい。里山文化と観光の共存は、たとえば、棚田オーナー制度を広げて、多くの人に自然の循環を体験してもらいながら自然を守ることの大事さを知ってもらい、湖西の自然そのものも保全する。
委員:特区でなければならないポイントは何か。
申請者:国や県の転作制度で菜の花が増え、「菜の花祭り」を開催したが、今年度で制度がなくなるので、高島地域の観光産業における菜の花の必要性を経済振興特区として制度的に認めて欲しい。ヨシの保全についても財政的な支援が欲しい。エコツアーのルートを開発できる人材も派遣して欲しい。
委員:経済振興特区申請の計画書としては、事業経営という視点が不足している。
申請者:その点については、いろいろなルートをマップ化した中で経済的な部分にも取り組み、地域特産の食事・土産など付加価値的なものを作りたいと考えている。
委員:「標榜する里山エコツーリズムを創出するにはどのような人の手がどのくらい必要か」という大事なエッセンスがない。それが明確になれば、具体的な戦術の重点化が図れると思う。
委員:ヨシをヨシ細工の産業に結び付ける、「菜の花観光」をイベントにする等、経済振興の計画を具体的に示して、特例や予算や人材を求める形にすると経済振興特区に乗りやすいと思うので、皆さんの思いをビジネスに翻訳できるプランナーやプロデューサーを導入した方がよい。
<計画の背景>
<計画の概要と期待される効果>
[質疑応答]
委員:住宅、研究施設、コミュニティビジネスという三つのポイントの関連を明確にすべき。
申請者:「エコ村」は新しい環境共生型のライフスタイルを実践する場であり、その中で新しい環境ビジネスの技術を生み出す。中央に整備する研究施設(ECI)において、世界の優秀な研究者とも連携をとって、成長産業の研究をする。それを活かしたライフスタイルを実践する場として363戸の住宅がある。
委員:「エコ村に住む人が実験に参加する」という契約書を結ぶ等の手法を取り入れないと、普通の地域開発との違いが分からない。
申請者:具体的なプロジェクト毎に、実験に参加してもらう居住者と契約する形になると思う。
委員:エコ村に住むメリットは何になるのか。
申請者:実験で最先端の技術を使うとことによって生活コストが下がる可能性がある。
委員:ここを特区にする理由は何か。「必ず実験に参加する」という協定があって、300戸が一斉に協力してくれる実験場になるという計画であればおもしろいと思う。
委員:経済振興の側面が見えにくい。エビデンスが見えない。滋賀県の経済に貢献する数字が見える計画にしてほしい。
申請者:多くの人が望む環境との共生を具体的に新しいマーケットとして生み出すことが経済振興にとって重要と考えているが、ますは、ここで実験的に成り立つことを示すことが経済振興につながり、より広い地域に経済的効果を及ぼしていくと考えている。新しいマーケットなので、その規模を具体的に算定することはできない。
<米原市の立地と鉄道輸送へのモーダルシフト>
<SILCの事業内容と効果>
[質疑応答]
委員:特区にする必要性は何か。
申請者:産学官民金(銀行)の連携強化、特区認定という対外的なアピールによる経済振興の推進、さらに県の助成を受けることでイニシャルコストを下げる等が挙げられる。また、用地が農地なので、県の協力がなければ手続きが進まないところがある。特区に認定されて、県の協力を得て手続きをできるだけ早くクリアしたい。
委員:既存の物流施設が小規模分散立地しているために非効率になるという課題を解消するのがこの計画であるとすると、この地域に物流施設が集約化され、物流の効率化が図られれば、特区として全県的にその効果が及ぶと思う。ただし、モーダルシフトはコンソーシアムでできるものなのか。
申請者:可能である。環境問題で先進的な企業ほど鉄道輸送を推進したいという背景がある。また、トラック業界は高速道路の90km/h規制で輸送が間に合わなくなり、ドライバーが過度な労働を強いられていることからもモーダルシフトが期待されている。米原は大阪や京都よりも低廉かつ効率的なモーダルシフトが推進できる。さらに、薬事法が改正されて大企業から北陸地方の製薬メーカーに製造委託が進むと、雪の問題から鉄道輸送が重要になり、中京・名古屋、大阪圏を狙える拠点として米原にモーダルシフトを推進できるようなバックグラウンドが整うと感じている。
委員:SILCへの集約後の既存施設の跡地利用で、地域に還元するプランがあるとさらに見えやすい。
<大学の知的資源の活用>
<特区事業の実施状況と平成17年度の事業計画>
[質疑応答]
委員:立地企業0は何が問題なのか。
申請者:これから本格的に育っていくと考えている。また、立地場所として適地を結びつけることが大事だと思っている。
委員:経済振興特区は企業の誕生と発展を内発的な形で考えがちだが、4〜5年のタームで一定の企業に立地してもらうため、海外企業の誘致も必要だと思う。琵琶湖などいろいろな資源があるので、それを活かした誘致の取り組みも検討してほしい。
委員:滋賀県の1人当たりの所得は大阪を抜いている。新しい滋賀のイメージ転換も必要である。
<全体の実施状況と平成17年度特区計画事業>
[質疑応答]
委員:今、長浜バイオ大学の学生はどのくらいか。
申請者:今年度は700名を超えており、学部の増員も考えられている。35〜36%が地域に居住し、残りの約7割は近隣から通学している。
委員:学生にとっての利便性等居住環境を高めることも大事。
委員:大学に続くバイオのシンボル的なものがつくれるとよい。
申請者:今は、大学の3回生が再来年卒業する時点で大学院をつくれるように尽力している。
委員:立地企業がないことの要因をどのように考えているのか。
申請者:大学のシーズが地元の企業に十分に周知できていないことが考えられる。学内の産学連携事業センターに人材を1人配置し、企業回りをしてもらう体制が整備された。ネットワークを早くつくりたい。
委員:ヒアリング審査の結果を踏まえると、「滋賀統合物流センター(SILC)特区」は推薦できる。
委員:「湖西里山エコツーリズム特区」は中身を具体的にすれば実るものがあると期待する。そのためには、優れたプロデューサーを入れると良くなると思う。観光開発は、遠くから来る人にとっての魅力が必要である。日本中で行われている「観光開発」があまり成功していないのは、地元の人が見て良いものを外の人に押し付けようとするためである。つまり、全国から「その地域のそれ」が好きな人を集めるようなプロジェクトにしなければならない。そういうものをしっかりと創れるプロデューサーを1人雇って、三つくらいの魅力を取り上げるべきである。里山は日本中にあるので、たとえば「菜の花畑の月見」など、イベント化も考えなければならない。
委員:「小舟木エコ村特区」は、住む人と実験協力協定を結んで、このエリアを一つの実験場にするとおもしろいと思うが、人が来て、住むメリットをどう位置付けるかが課題である。場合によっては、東京や大阪に家を持っている人と家を交換して団塊の世代を呼ぶことも考えられる。
委員:それでは、今回は「滋賀統合物流センター(SILC)特区」を特区として推薦する。