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新春対談2021 これが私たちのスタイル! 滋賀に新風を吹きこむ農業女子(広報誌滋賀プラスワン 令和3年(2021年)1・2月号 vol.189)

女性ならではの視点で農業を楽しみ、自分らしく生きる。いま、「農業女子」という生き方が注目されています。
滋賀の豊かな風土の中で輝く農業女子たちに、農業にかける思いを語っていただきました。

浅野 美恵さん 渡邉 維子さん  滋賀県知事 三日月大造 池内 桃子さん

渡邉 維子さん

食まちアグリゲーション(守山市)
しが農業女子100人プロジェクト 副代表

食と農業によるソーシャルビジネスの立ち上げを目指し、環境分野の団体職員、FM滋賀のリポーターなどを経て、2015年に就農。100種以上の野菜を育てている。

池内 桃子さん

池内農園(東近江市)
しが農業女子100人プロジェクト 理事

米農家に生まれるも、農業を継がず料理の世界へ。その後、母が営む「農薬・肥料をいっさい使わない農法」のすばらしさに気づき、母の元で農業を始める。

浅野 美恵さん

美の里ファーム 代表
しが農業女子100人プロジェクト 理事

福井県の米農家に生まれ育ち、23歳で就農。5年前、結婚を機に滋賀へ移り住み、大津市の棚田で有機農業を始める。大津市の農業委員。

農業への入り口は人それぞれ

知事
コロナ禍を経て、滋賀の自然の恵みを改めて感じるとともに、農業をはじめとする「つくる」力の再強化の必要性を痛感しています。皆さんはどのようなきっかけで農業を始められたのですか?

渡邉
私は「食」で人を元気にして、町を元気にしたいと考えていて、食の原点である農業と人をつなぐ起業を目指していました。その中で、農業を教えてくれる師匠に出会い、自分でも思いがけないことに2015年から守山で少量多品種の野菜作りを始めました。

浅野
私は23歳の時に、福井県の実家の米農家を継ぎ、有機農業・自然栽培に転換して直販を始めました。また、「農武士プロジェクト」を立ち上げ、就労がむずかしい若者と農業をつなぐ活動を始めました。5年前、結婚して滋賀に移り住み、大津市平尾の棚田を見た瞬間に「私はこの地に呼ばれたんだわ!」と惚れこみ、昨年、耕作放棄の棚田の開墾を始めました。

池内
私は、母が平成5年から農薬・肥料を一切使わない米づくりをやっていてすごく大変なことだと知っていたので、自分は生産者にはなれないとずっと思ってきました。

知事
それなのに、なぜ農業を?

池内
素材の良さを伝えたくてまずは料理の世界に入ったのですが、本当の良さを伝えるには実際に生産して背景を知るべきだと気付いたんです。腹をくくって10年前から母の元で米作りを始めて、今ではどっぷり農民です!

悩みを分かち合い未来を目指す農業女子

知事
「しが農業女子100人プロジェクト」は、県としても大変心強い存在です。

渡邉
最初は、県内で農業をしている同世代の女性が集まって、ご飯を食べたりお茶を飲みながら、悩みを話したり情報交換をする場でした。2018年秋から会員制度にして、継続していける農業にするため、共同販売をしたり技術的な勉強をしています。次の世代の方に、「しが農業女子」があるから安心して農業ができると思ってもらえる団体にしたいです。

知事
農業、そして農業とともに育まれてきたお祭りや文化は、私たちとは切っても切れない大切なもの。農業は大変そうとか、土に触ると汚れるといったイメージを、農業女子の皆さんとともにぜひ変えていきましょう!

コロナ禍で注目されたこだわりの農法

知事
県では、滋賀の豊かな自然環境を大切にする「環境こだわり農業」の象徴として、オーガニック栽培された滋賀のお米やお茶をブランド化して広く知ってもらうプロジェクトを進めています。また農村での農業体験と旅をセットにした、ツーリズムを提案しました。農業女子の皆さんのように熱い思いをもって作られた滋賀の農産物を買おう、食べよう、応援しようという機運につなげていきたいと考えています。

浅野
まさにそのツーリズムを、世界遺産の比叡山と世界農業遺産を目指す滋賀の農業とを組み合わせて、大津の棚田で計画していました。コロナ禍が落ち着いたら、滋賀の魅力、棚田の魅力を伝える仕事をしていきたいです。

知事
ほかのお二人も、コロナの影響がありましたか?

渡邉
取引先がクローズして収入は少し減少した一方で、小売りが増えたり、新しい取り組みに着手できたので、金額にはならないプラスがありました。

池内
コロナの影響で外食ができないとか、身体に気をつかうようになったことで、こだわり農法が注目されて問い合わせがすごく増え、予約で即完売になりました。

知事
どういう人からの問い合わせが多いですか?

池内
赤ちゃんを抱えた若いお母さんや都市部の方が多いですね。今は生産が間に合わず、どうやって収量を上げるかが課題です。母はすごく丁寧に農作業をするので、もう少し効率的にすればいいのにと反発した時もあったのですが、意味があって手をかけていたんだと、10年続けてやっと気づきました。農業が大型化すると、時間も手間もかけられないから農薬に頼ってしまう。仕方ないのはわかるのですが、不自然ですよね。食べる人の意識が変われば、大型化とは違う家族経営の農業が増えるのではないかと思っています。

知事
意味があって手間をかけている。実感がこもった、いい言葉ですね。胸に響きました。

環境に負荷がかかるラスチックごみの問題

知事
公舎の草が生い茂った一画を耕して、野菜作りを始めたんですよ。水草を堆肥化したものを入れ、家庭の生ゴミを肥料にして混ぜて、土作りをしています。初めは、水草の堆肥の窒素が多すぎてうまく育たなかったサツマイモも、昨年は堆肥の量を調整して収穫できました。今はブロッコリーや豆、タマネギも定植して、マルチ※1 をかけました。そのマルチがビニールなのが嫌なのですが…。

池内
家族で食べるための家庭菜園では、田んぼの畦で刈った草を置いて「草マルチ」にしています。敷き草がマルチ代わりになって雑草を抑えられます。大型の生産者には向かないけれど、家族用の菜園なら、草マルチがおすすめです。

渡邉
マルチは、環境にとって深刻な問題ですね。

知事
はい。琵琶湖の湖底のゴミを調べると、6、7割がビニールで、農業に由来するものも多いといわれています。プラごみゼロを目指す滋賀県として、何とかしなければと強い危機感をもっています。

渡邉
生分解性のマルチもあるのですが、長期間の栽培では途中で分解されてしまうし、コストが高い。マルチをたくさん使うと、採算が合わないんですよ。その上、マルチには泥がついているため、リサイクルしにくいんです。マルチの問題は、技術で解決していくことが必要だと感じています。

自分らしく滋賀を盛り上げていきたい

知事
これからやってみたいことはありますか?

浅野
自分が母親になって、子どもにどんな故郷を残したいのかを考えるようになり、地域に根ざした農業とともに、地域おこしにも関わっていきたいと思うようになりました。滋賀のママたちを応援する「あるがママfes」の開催などで、ママでも農業ができることを体現していきたいです。

渡邉
様々な事情を抱えた人たちに野菜たっぷりの食事を届けたくて、就農時から農業と並行して、規格外や余剰野菜を使ってお弁当を作って販売してきました。自分の加工所を持ちたいと考えていた時、ある福祉施設と一緒に守山の耕作放棄地で新たに野菜づくりを始めることになり、その施設の加工所を使わせてもらえることになりました。自分のやりたいことを実現しながら、施設利用者の仕事にもなるので、お弁当作りを事業として継続していきたいと考えています。

池内
滋賀県には農業、漁業、林業、お茶もあって、とても恵まれています。私には発展する滋賀しか想像できません! 個々では発信力が弱いので、一緒に発信して、みんなで力を合わせて滋賀を盛り上げていきたいです。

知事
すべてが思う通りにはいかない中で悩みながら、ご自身の知恵と力で乗り越えてこられたことが、ひと言ひと言から伝わってきました。私は農業に可能性を感じています。「食べる」こと、食べものを「つくる」ことは、いのちや幸せの根源です。農業を担おうとする人は、男性も女性も、滋賀県の未来を照らす光。皆さんを全力で応援します!

渡邉浅野池内
ありがとうございます。

渡邉
滋賀にはすごくいい農産物がたくさんあります。皆さん、まずは食べてみてください!

知事
2030年のSDGs※2 の達成に向けた「行動の10年」の新春に、農業女子のお三方と対話できたことをとても嬉しく思います。県民の皆さんと一緒に食べることを大事にして、共に生きる喜びを分かち合える滋賀を実現したいと決意を新たにしています。

※1…地温の調整や、雑草を生えにくくするために、畑の畝を覆うシート。

※2…国連サミットで採択された、持続可能でよりよい世界を目指す共通目標。

しが農業女子100人プロジェクトの農産物

滋賀県では、県内の女性農業者の農産物や暮らしを発信する「しが農業女子100人プロジェクト」を支援しています。ここではプロジェクトで生産された野菜や米を紹介します!

野菜

身体にも環境にも優しい農産物を届けたい、食べる人を笑顔にしたいとの想いでメンバーは県内各地で生産活動を行っています。ベーシックな野菜をはじめ、彩りのよいカラー野菜やエディブルフラワー(食べられる花)など、私たちの農業スタイルは多様です。

滋賀旭という品種は滋賀県の在来種で、食感はもっちりしていて大粒が特徴です。池内農園のお米は農薬・肥料を一切使用していません。また、毎年清らかな水と土、そして太陽の光と愛情をかけることで、おいしいお米になります。

滋賀の農業女子100人プロジェクト 会員募集


一緒に活動しませんか?
滋賀で農業に携わる女性、そして応援してくださる仲間を募集しています!
農業にかかわり、一緒に滋賀の農業を盛り上げていただける方ならどなたでも。学生さんも大歓迎です。

詳しくは「耕す女子しが」をご覧ください。
https://shiga-agrigirls.com

お問合せ
知事公室 広報課
電話番号:077-528-3041
FAX番号:077-528-4803
メールアドレス:koho@pref.shiga.lg.jp